宗次郎オリジナルアルバム第2作
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『シルクロード』につづくNHKの大型番組、NHK特集『大黄河』のサントラ・アルバム。
宗次郎さんの出世作。
発売日:1986.4.25(サウンドデザイン)
プロデュース:南里高世(TAKA NANRI)
作曲:宗次郎
共同作編曲:南里高世、瀬川博史(JASRAC作品データベース表記による)
<レビュー>
①大黄河
NHK『大黄河』番組のテーマ曲にして、宗次郎さんの代表作となった曲。
黄河の上空を吹き抜けていく風を彷彿とさせる、サウンドとメロディー。アルバム1曲目は、番組オープニングの映像の時間に合わせたと思われるアレンジ・編曲で、約1分30秒と、ワン・コーラス(歌で言う、いわゆる1番)のみとなっている。7曲目はロング・バージョン。
②壮雲海~星宿海
シンセサイザーのみの曲。宗次郎さんのオカリナの音色は入っていない。
番組のBGMとしては、この曲のような、ストリングス(弦楽器類の合奏音)系のシンセサイザーのドローン(持続音・長い音が続く感じのサウンド)の曲は重宝されるのだろうが、音楽的には変化が乏しく面白味に欠ける。
やはり、宗次郎さんのCDでは、オカリナの音色を聴きたいところ…。
③冬雪花
サウンドデザイン時代の初期の頃の宗次郎さんの作風が、とても特徴的に出ている作品。この曲のメロディーラインの感じは、後の宗次郎作品の多くに受け継がれている気がする。
④月霞草
3曲目とともに、初期の宗次郎さんらしいメロディーラインの曲。
静かなメロディーの曲なので、ドラムの音がやや余分な気もする。
⑤朧伝説
とてもシンプルなアレンジで、素朴なメロディーとよくマッチしている。
3曲目、4曲目と同じく、サウンドデザイン時代によくある感じのメロディーの曲。個性が弱い曲なので、アルバム全体の中では、あまり印象に残らない感じがする。
⑥黄河源
この曲もシンセサイザーのみの曲。宗次郎さんのオカリナは無し。
2曲目もそうだが、番組上のBGMにすぎない感じの曲。曲自体は悪くはないとは思う。が、シンセサイザー音楽としてのクオリティは、正直なところ、喜多郎さんの『シルクロード』には遠く及ばない感じ。やはり、宗次郎さんのCDでは、宗次郎さんのオカリナの音色を堪能したい。
⑦大黄河
1曲目はオープニングの時間に合わせたショート・バージョンだったのに対し、こちらはフル・バージョン。
間奏部分がやや長めな印象だが、最後の転調部分へとつなげて行く、曲の流れの盛り上がり方が素晴らしい。のちに『オカリナ・エチュード1』にて、大島ミチルさんのアレンジ版が収録されているが、その原曲となったと思われる。
⑧童戯原
2曲目、6曲目と同じく、宗次郎さんのオカリナの音のないシンセサイザーのみの曲。
だが、前2曲と比べて、この曲はなかなか面白いシンセサイザー音楽だと思う。2曲目、6曲目と異なり、独自の個性を感じさせるアレンジになっているのがいい。リズム感のあるミニマル・フレーズ(短い音型を繰り返すタイプのフレーズ)が印象的なシンセサイザー曲。
⑨天清流
とても清々しい、さわやかさ溢れる曲。こういう“さわやか系”の宗次郎さんの曲、すごく好きだ。
澄んだ青空を、吹き渡ってくるような、さわやかな風を思わせるメロディーと音色が素晴らしい。
⑩麗泉郷
大黄河のサントラのみならず、初期のサウンドデザイン時代の中でも、屈指の傑作。
郷愁を感じさせる流麗なメロディー、そして力強さと雄大さも感じさせる、サビのメロディーは秀逸。大黄河関連の曲の中で、一番のお気に入り。“麗泉郷”というタイトルもすごくいい。名曲!!
⑪陽春麓
春のあたたかな日差しを思わせる、温かく優しいメロディーの曲。
アレンジもシンプルで、オカリナの音色ととてもマッチしている。派手ではないが、隠れた良曲という感じ。サビのメロディー(曲の中で一番盛り上がったり、印象に残る部分のメロディー)がさわやかな感じで、とてもなごめる曲。
<総評>
前半(1曲目を除いて)がやや平凡な印象なのに対して、7曲目以降の後半のクオリティーが非常に素晴らしいアルバム。
サントラ・アルバムという性格上、宗次郎さんのオカリナの演奏のない、シンセサイザーのみの曲が3曲もあるが、後半の「大黄河」「天清流」「麗泉郷」は、それを補って余りある良曲・名曲。
『グローリー・幸福』とは異なり、オカリナのバックはシンセサイザーがメインとなっている。
曲名が全部、漢字3文字で統一されているのがカッコいい!
☆版権元サウンドデザインのYouTubeチャンネルより(公式動画)
「大黄河」(1曲目)
「麗泉郷」(10曲目)※注:CD収録版とはアレンジが異なる、ライブ演奏版の動画です。
☆アルバム『大黄河』より「大黄河」を、ヒーリング・ホイッスルでカバー演奏しています。
YouTubeで公開中です。よろしければ、ぜひご覧下さい。
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宗次郎さんと、あんまり比べないでね。