宗次郎オリジナルアルバム第3作
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NHKの大型番組、NHK特集『大黄河』のサントラ・アルバム第2集。
発売日:1986.10.25(サウンドデザイン)
プロデュース:南里高世(TAKA NANRI)
作曲:宗次郎
共同作編曲:南里高世、熱田公紀(JASRAC作品データベース表記による)
<レビュー>
①黄河紀行
ゆったりとした黄河の流れを感じさせるような、雄大でスケール感のある曲。
悠久の歴史をも感じられるようなサウンドで、もうひとつの大黄河テーマ曲と言っても、過言ではないと思われる作品。
②異境の民
厳しい自然の中で、懸命に生きている少数民族の人たちへの応援歌といった趣。
イ短調のメロディーながら、どこか力強さを感じさせる旋律。アレンジ・編曲の点においては、しっかりとしたドラムのビートが、メロディーの力強さを強調させている。
③仏陀道
シンセサイザーのみの曲。宗次郎さんのオカリナはなし。
曲の前半はおだやかだが、後半はいささかリズミカルな感じ。タイトルからすると、荘厳な感じの曲をイメージしそうだが、中々ポップな感じでユニークなシンセ曲。
④黄河文明賛歌
どこか幽玄な雰囲気が漂う曲。かつて栄えたものの滅亡していった文明への哀歌といったところか。黄河をテーマにした曲ではあるが、この曲を聴くと、晩秋の古都で、色づいた紅葉がはらはらと、落ち葉を散らしているような、そんな情景が目に浮かんでくる。
⑤惜別詩
物悲しい雰囲気のメロディー。
全体的に個性がやや乏しい曲なので、もうひとつ印象が残りにくい。
⑥大黄河
メイン・テーマのスロー・バージョン+洛陽のテーマ。
オープニングのバージョンのアレンジでは、オカリナをアルト(中音域)からソプラノ(高音域)に持ち替えて、広めの音域を演奏する形になっているが、この“アンダンテ・バージョン”(ゆっくりとしたテンポのバージョン)は、アルトC管1本で演奏できるようにアレンジされている。
後半は「洛陽」という曲のメロディーを奏する。この「洛陽」という曲は、当アルバムなどサントラ盤には収録されず、後に発売された『大黄河ベストセレクション』に収録されている。
⑦水舞竜
初期のサウンドデザイン時代の曲の中で、アルバム『Voyage』の「風の大地」と並ぶ、ビート感あふれる曲。宗次郎POPとでも言うべきか。
まさにドラゴンが黄河の上空で乱舞しているかのような、躍動感あふれる作品。
宗次郎=静かな癒し系の音楽、と思っている方は、この曲のようなタイプの宗次郎作品を聴くと、イメージが変わるかも?
もっとも、当の宗次郎さんご自身は、結構、アップテンポな曲もお好きなのだとか。(TV出演時の談話より)
⑧栄華回顧録
ハープシコード(バロック音楽などで登場する、ピアノの前身の楽器)のような音が印象的で、哀愁ただよう曲。
このアルバムは、黄河の光と陰が、一つのテーマとなっている気がするが、4曲目とともに、この曲も滅亡した黄河文明という、陰の部分を感じさせる。
⑨日向流水
前作の「天清流」や「陽春麓」と同じ路線の、優しいメロディーが魅力的な曲。
とても愛らしい雰囲気のメロディーとアレンジで、可憐に咲いた野の花をイメージさせるような、さわやかで美しい曲。
⑩遥かなる渤海
黄河の旅の終わりの渤海を描いた曲だが、この曲を聴いていると、なぜだか星空をイメージする。夜空に輝く満天の星空を、見上げているようなイメージ。
<総評>
前作『大黄河』サントラ第1作と比べて、2作目となる本作は、よりダイナミックなサウンドだったり、黄河の歴史をより深く描いていたりと、ひと皮むけた感がある。
曲調についても、第1作よりもバラエティーに富んでおり、『グローリー・幸福』でデビューしたばっかりだった宗次郎さんが、『大黄河』という大型番組の音楽を担当することを経て、音楽家・アーティストとして大きく成長されたことがうかがえる。
そして、サウンドデザイン時代屈指の名作である、次作『心 KOKORO』を生み出すことになる。
☆版権元サウンドデザインのYouTubeチャンネルより(公式動画)
「異境の民」(2曲目)
「水舞竜」(7曲目)
※注:CD収録版とはアレンジが異なる、ライブ演奏版の動画です。
☆「大黄河」のテーマを、ヒーリング・ホイッスルでカバー演奏しています。
YouTubeで公開中です。よろしければ、ぜひご覧下さい。
↓
【ヒーリング・ホイッスル】大黄河【オカリナ奏者・宗次郎作品を、ケルトのホイッスルでカバー演奏】
https://www.youtube.com/watch?v=q-kpiYvUeRw