宗次郎オリジナルアルバム第6作
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ドラム&ベースに海外アーティストが参加し、リズム・セクションを今まで以上に強化したポップ路線の作品。
発売日:1988.10.25(サウンドデザイン)
プロデュース:南里高世(TAKA NANRI)
作曲:南里高世
共同作編曲:大沢教和、柴田敬一(JASRAC作品データベース表記による)
<レビュー>
①プロローグ
次曲「サマルカンド」のAメロ(主旋律で1番初めの部分)を、宗次郎さんのオカリナ・ソロを中心にしたアレンジで構成した曲。時間も短く、タイトル通りプロローグ的な曲。
②サマルカンド
プロローグからそのまま続く感じで始まる。シンセサイザーのコード弾き(和音をチャチャチャという感じで、分散させずに弾いている)から、ドラムがビート感のあるサウンドを叩き始める頃には、聴いている人は、このアルバムが、これまでの宗次郎作品とは趣が異なるものだと強く印象付けられる。“ポップ系”作品の一つ。
ちなみに、サマルカンドは、中央アジア・ウズベキスタンの古都。
③めぐり逢い
ニューエイジ音楽で「めぐり逢い」という曲名を見ると、どうしても、カナダのピアニスト、アンドレ・ギャニオンの名曲を思い浮かべてしまうが、この曲はそれとは全く無関係。
とてもメロディアスで美しい曲。前向きな気持ちになれる良い曲であるが、こういう曲調ならば、無理にドラムやベースを入れずに、アコースティックな(静かめな)感じでアレンジした方が、宗次郎さんのオカリナにもよく合うのでは?という感じもする。
せっかく海外アーティストに演奏参加してもらったので…ということだろうか。
④ヒマラヤン・シーダー
2曲目と同じく、ポップ系のアレンジがされた曲。
これは、南里高世さんが作曲したメロディー全般に共通して言えることなのだが、南里高世さんが作曲するメロディーは、どちらかと言うと、必ずしも洗練された、作曲技法的にも“上手い”メロディーというわけではなく、けっこう素人っぽいメロディーラインだったりすることが多々あると思う。(もちろん、全部がそうというわけではないのだが)
なので、この曲のようなタイプのアレンジだと、人によっては、安っぽい印象の曲と感じてしまうこともあるかもしれない。
前作『フォレスト』のような、格調のあるタイプのアレンジならば、その辺りの短所を補完できて、バランスがとれるのだが…。
⑤チチカカ湖
チチカカ湖は、アンデス山脈のペルーからボリビアにまたがる湖。
アンデスということで、メロディーがフォルクローレ調(南米アンデスの民俗音楽・コンドルは飛んで行くが有名)で、宗次郎さんもかなりケーナ風のサウンドを意識して、演奏されておられるのがわかる。ケーナとは、アンデスの民族楽器の縦笛。
ただ、アレンジ自体はフォルクローレ風というわけではなく、シンセやベース・ドラムをメインにした、ポップなアレンジとなっている。このアルバムの中では一番のお気に入りの曲。
⑥アップル・トゥリー
柴田敬一さんが作曲。
まるで抒情的なミュージカル・ナンバーやラブ・バラード、ゆったりとした抒情歌を思わせるような美しい曲。宗次郎さんのオカリナとピアノ伴奏のみというシンプルなアレンジで、美しいメロディーを歌いあげている。
ドラム・サウンドが続いた後なので、ホッと一息つける、ゆったりとした曲。
⑦ブータンの夢
ヒマラヤの国ブータンの名がタイトルに入った曲。
曲調もエスニック・民族調な雰囲気で、このアルバムの中では、独特の個性を放っている曲。宗次郎さんのオカリナの音色は、この曲のような民族音楽っぽい曲調に、よくマッチする。
⑧虹のかけ橋
柴田敬一さんが作曲。とても物悲しい雰囲気の曲。内向的に物思いにふけっているかのような曲調。
このアルバム前半の、ポップ路線の曲とは対照的で、エピローグ的な意味も込められているのかも。
<総評>
『心』『フォレスト』の作風を捨てて、ポップなアレンジの路線に入った“南里高世feat.宗次郎”2作目。(このfeat.は、宗次郎さんが作曲に参加されていないという意味で)
ネーザン・イースト(ベース)、マイク・ベアード(ドラム)と、リズム・セクションに海外アーティストに参加してもらい、非常に気合の入ったポップなアレンジにしようとしているのが分かる。
ただ、前作までとは作風も音楽性も、がらりと変わっているので、人によっては好みが分かれるかもしれない。
宗次郎さんのオカリナの音色の、持ち味や特色を活かした、透明感のある静かな癒し系の作品を好む方や、ポップな路線のアレンジが苦手な方には、『ハーモニー』は少し不向きかもしれない。(6曲目「アップル・トゥリー」ならば楽しんでいただけるとは思うが)
ただ、「チチカカ湖」と「ブータンの夢」は良曲。こういうエスニック・民族音楽色を感じられる曲ならば、宗次郎さんのオカリナの音色の持ち味が、活き活きとしているように思われる。
☆版権元サウンドデザインのYouTubeチャンネルより(公式動画)
「めぐり逢い」(3曲目)
「アップル・トゥリー」(6曲目)