◎宗次郎アルバム第1作『グローリー・幸福(しあわせ)』レビュー

宗次郎オリジナルアルバム第1

『グローリー・幸福(しあわせ)』

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オカリナ奏者宗次郎さんの記念すべきファースト・アルバム。デビュー作。

 

発売日:1985.9.25(サウンドデザイン)

 

プロデュース:南里高世(TAKA NANRI

作曲:宗次郎

共同作編曲:天野正道、瀬川博史、柴田敬一(JASRAC作品データベース表記による)

 

 

<レビュー>

CALM HAPPINESS・幸福の朝

 オカリナに、ピアノ、ストリングス(ヴァイオリンなど弦楽器群のアンサンブル)という編成で、このアルバム全体の特徴を印象付ける、アコースティックな響きが美しい透明感溢れる曲。

 爽やかな朝にこの曲をかければ、タイトル通り、幸せな気持ちで一日をスタートできそう。

 

SPRING CLOUDS・春雲

 ストリングスのアレンジが秀逸な曲。ところどころ憂いを感じさせるような雰囲気があり、儚げな印象をも与えるメロディーが美しい。

 

PATH OF THE COUNTRY・故郷の小径

 郷愁とともに、どこか哀愁も感じさせる曲。

 アコースティック・ギター&ベースが効果的に使われたアレンジが見事。

 

BIRD’S SONG・小鳥の歌

 オカリナ・ソロ曲。

 宗次郎さんがレコードデビューする以前より、演奏されていた曲。

 ソプラノ管により、まさに小鳥がさえずっているかのような印象の曲。ところどころ、欧州の民謡を思わせるようなメロディーが現れるが、宗次郎さんの師匠・火山久氏が、宗次郎さんに伝授したとされる、カタロニア民謡「鳥の歌」の影響なのかもしれない。

 

FRIENDS・いつくしみ

 このアルバムの中で、1番のお気に入りの曲。

 シンプルながら、キャッチーで覚えやすいメロディーが印象的。マリンバ(木琴)を使ったアレンジも秀逸。

 NHKの『日本の話芸』という番組のテーマ曲に使われていたこともあったらしいが、落語とこの曲のテーマとの関連性は、特にないと思われるのだが

 

SIDE OF A FOUNTAIN・泉のほとりにて

 イントロのピアノが印象的。

 短調の曲なので、全体的にほの暗い雰囲気が漂う曲。東欧などの舞曲や民謡のような感じもする、クラシックなテイストの曲。

 勝手な想像だが、この曲からは、季節で言うと冬の泉の光景をイメージする。

 

FOR LITTLE CHILDREN・幼子たちへ

 このアルバムの中で2番目にお気に入りの曲。

 優しさあふれる美しいメロディーと、オカリナの音色がピッタリはまった良曲。

 アレンジはシンプルだが、そのおかげで、この曲のメロディーの良さが十二分に引き出されている。Bメロ(曲の構成の中で主旋律の2番目の所にあたる部分)の五音音階(ドレミソラという5つの音を使った音階)のところが特に好き。

 子どもを慈しむ母親のまなざしを思わせるような、聴いていて優しい気持ちになれる曲。

 

POEM IN THE EVENING・夕べの詩

 このアルバムで2曲目の、オカリナ・ソロの曲。

 物悲しげな旋律ながら、ところどころ、後の宗次郎さんの持ち味である、日本の郷愁を感じさせるメロディーが垣間見れる。

 夕闇迫る山の中で、静かに一人、たたずんで夕焼け空を眺めているようなイメージの曲。

 

 

<総評>

 全体的にアコースティック(生楽器)で素朴な響きが印象的なアルバム。

 宗次郎さんのデビュー作ということで、どこか初々しさも感じられる作品。(若々しいというか、現在と比べて青さも感じられるというか)

 だが、一曲一曲のクオリティは非常に高く、今現在聴いても、決して“古さ”を全く感じさせない、普遍性のある音楽。いい音楽には、時代性は全く関係ないということの証明になっている。

 後の『オカリーナの森から』などのアルバムにも繋がるようなテーマ性があり、まさに宗次郎さんの原点と言えるアルバム。

 オカリナの奏法に関しては、現在の宗次郎さんの演奏と比較して、ビブラートが少なめな印象(ノン・ビブラートに近い。ビブラートとは音を揺らす抑揚の付けた演奏のこと)。

 

 

☆版権元サウンドデザインのYouTubeチャンネルより(公式動画)

FRIENDS・いつくしみ」

 

 

 FOR LITTLE CHILDREN・幼子たちへ」

 

☆以下のサイトで、全曲試聴およびダウンロード購入ができます。

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