宗次郎オリジナルアルバム第1作
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オカリナ奏者宗次郎さんの記念すべきファースト・アルバム。デビュー作。
発売日:1985.9.25(サウンドデザイン)
プロデュース:南里高世(TAKA NANRI)
作曲:宗次郎
共同作編曲:天野正道、瀬川博史、柴田敬一(JASRAC作品データベース表記による)
<レビュー>
①CALM HAPPINESS・幸福の朝
オカリナに、ピアノ、ストリングス(ヴァイオリンなど弦楽器群のアンサンブル)という編成で、このアルバム全体の特徴を印象付ける、アコースティックな響きが美しい透明感溢れる曲。
爽やかな朝にこの曲をかければ、タイトル通り、幸せな気持ちで一日をスタートできそう。
②SPRING CLOUDS・春雲
ストリングスのアレンジが秀逸な曲。ところどころ憂いを感じさせるような雰囲気があり、儚げな印象をも与えるメロディーが美しい。
③PATH OF THE COUNTRY・故郷の小径
郷愁とともに、どこか哀愁も感じさせる曲。
アコースティック・ギター&ベースが効果的に使われたアレンジが見事。
④BIRD’S SONG・小鳥の歌
オカリナ・ソロ曲。
宗次郎さんがレコードデビューする以前より、演奏されていた曲。
ソプラノ管により、まさに小鳥がさえずっているかのような印象の曲。ところどころ、欧州の民謡を思わせるようなメロディーが現れるが、宗次郎さんの師匠・火山久氏が、宗次郎さんに伝授したとされる、カタロニア民謡「鳥の歌」の影響なのかもしれない。
⑤FRIENDS・いつくしみ
このアルバムの中で、1番のお気に入りの曲。
シンプルながら、キャッチーで覚えやすいメロディーが印象的。マリンバ(木琴)を使ったアレンジも秀逸。
NHKの『日本の話芸』という番組のテーマ曲に使われていたこともあったらしいが、落語とこの曲のテーマとの関連性は、特にないと思われるのだが…。
⑥SIDE OF A FOUNTAIN・泉のほとりにて
イントロのピアノが印象的。
短調の曲なので、全体的にほの暗い雰囲気が漂う曲。東欧などの舞曲や民謡のような感じもする、クラシックなテイストの曲。
勝手な想像だが、この曲からは、季節で言うと冬の泉の光景をイメージする。
⑦FOR LITTLE CHILDREN・幼子たちへ
このアルバムの中で2番目にお気に入りの曲。
優しさあふれる美しいメロディーと、オカリナの音色がピッタリはまった良曲。
アレンジはシンプルだが、そのおかげで、この曲のメロディーの良さが十二分に引き出されている。Bメロ(曲の構成の中で主旋律の2番目の所にあたる部分)の五音音階(ドレミソラという5つの音を使った音階)のところが特に好き。
子どもを慈しむ母親のまなざしを思わせるような、聴いていて優しい気持ちになれる曲。
⑧POEM IN THE EVENING・夕べの詩
このアルバムで2曲目の、オカリナ・ソロの曲。
物悲しげな旋律ながら、ところどころ、後の宗次郎さんの持ち味である、日本の郷愁を感じさせるメロディーが垣間見れる。
夕闇迫る山の中で、静かに一人、たたずんで夕焼け空を眺めているようなイメージの曲。
<総評>
全体的にアコースティック(生楽器)で素朴な響きが印象的なアルバム。
宗次郎さんのデビュー作ということで、どこか初々しさも感じられる作品。(若々しいというか、現在と比べて青さも感じられるというか)
だが、一曲一曲のクオリティは非常に高く、今現在聴いても、決して“古さ”を全く感じさせない、普遍性のある音楽。いい音楽には、時代性は全く関係ないということの証明になっている。
後の『オカリーナの森から』などのアルバムにも繋がるようなテーマ性があり、まさに宗次郎さんの原点と言えるアルバム。
オカリナの奏法に関しては、現在の宗次郎さんの演奏と比較して、ビブラートが少なめな印象(ノン・ビブラートに近い。ビブラートとは音を揺らす抑揚の付けた演奏のこと)。
☆版権元サウンドデザインのYouTubeチャンネルより(公式動画)
「FRIENDS・いつくしみ」
「FOR LITTLE CHILDREN・幼子たちへ」