アシタツ最新アルバム『縄文ノ水月(ウミ)~三方五湖幻想~』。
(作品の詳細・解説は、上記のリンクをご覧下さい)
縄文をテーマに描いた、ホイッスル演奏によるニューエイジ音楽作品としては、おそらく世界初だと自負しておりますが、この作品を作る上で、意識せざるを得ない偉大な先達がありました。
それが、同じく縄文をテーマにしたニューエイジ音楽の名作アルバム、姫神こと星吉昭さんの『風の縄文』シリーズと、オカリナ奏者・宗次郎さんの『まほろば』の2作品です。
東北に根差したシンセ音楽の巨匠、姫神・星吉昭さんの『風の縄文』シリーズは、1996~1998年にかけて。オカリナの第1人者・宗次郎さんの『まほろば』は、1998年にリリースされたアルバムで、それぞれ20年以上前の作品ながら、今もなお根強い支持を得ている名作です。
自分自身も、音楽家を志していた学生時代より愛聴していたアルバムで、いつの日にか、自らも、縄文を描いた曲を作曲したいと強く願い続けてきました。その思いが結実したのが、最新作『縄文ノ水月(ウミ)~三方五湖幻想~』です。
とはいえ、尊敬する音楽家である、姫神・星さんと宗次郎さんが手がけられた、縄文というテーマを描く上で、自分自身に強くプレッシャーをかけて作曲に挑みました。
偉大な先達に負けないようなクオリティの作品を作ろうと、自らを追い込みつつ、真剣に取り組みました。
偉大なお二人に匹敵できる作品になったかどうかは、自分自身ではわかりかねますが、アシタツ作品の最高傑作が誕生し、そして自身の代表作と呼べるようなクオリティの作品に仕上がったと、納得の出来になったと自負しております。
そして、偉大な先達のお二人の作品とは、また異なる味わい・方向性を打ち出すことができたと思っています。
学生時代より親しんできた、姫神・星吉昭さんと宗次郎さんのアルバムを意識しつつも、作風やモチーフにおいては、かなりアシタツ流の独自性を込めて表現することが出来ました。
本作を通して、自分自身の作風が大きく飛翔・発展することができたと感じています。
同じ“縄文”をテーマにしたニューエイジ音楽ながら、姫神・星さんや宗次郎さんとは、違った作風の、縄文ニューエイジ・ミュージックを生み出すことが実現できました。
姫神・星吉昭さんの『風の縄文』シリーズは、シンセサイザーをベースに、ハウスやダンス音楽のビートをふんだんに織り交ぜた、ダンサブルで躍動感あふれる作風でした。また、その後の姫神作品の代名詞となる、女声コーラス“姫神ヴォイス”の導入が開始されたのが、このシリーズです。
一方、宗次郎さんの『まほろば』は、宗次郎さんならではの、土の香りが漂ってくるような温かいオカリナ・サウンドと、和を感じさせるメロディー、そして民族音楽的な雰囲気を醸し出しつつも格調高い、大島ミチルさん達のアレンジが魅力的な作品でした。
星さん宗次郎さんお二人とも、青森県の縄文遺跡“三内丸山遺跡”をモチーフにして、曲を作っておられます。
自らが縄文をテーマにした曲を作る上で、お二人と同じことをしても仕方がないので、自分自身ならではの表現と作風、そしてイメージやメロディーを追求していきました。
また、お二人とは異なり、縄文イメージのモチーフとするのは、自身のルーツでもある福井県にある、三方五湖と鳥浜縄文遺跡をモチーフにしました。
実際に三方五湖に足を運び、縄文遺跡や博物館を見学し、イメージを膨らませていきました。そして、作曲・編曲には、1年をかけてじっくりと取り組みました。
考え抜いて無理に作り出そうとするのではなくて、自分自身の心の中から、自然と音が湧いてくるのを待ち、その湧き上がってきたイメージをもとに、曲を具現化していきました。
その結果、偉大な先達のお二人の作風とは異なり、オーケストラ系サウンドをベースとしたシンフォニックで壮大な曲調と、ホイッスルの音色にロマンをこめた旋律をもってして、ヒーリング・ホイッスル版縄文ワールドを、描きだすことに成功できました。
完成した作品を聴いていると、自分自身ならではの作風を構築することが出来たという喜びを感じられました。
ホイッスル・サウンドとオーケストラ系サウンドの融合という、新境地にして自らの作風の転機を得られました。
学生時代には、オーケストレーションの勉強・研究をしていたので、それらも本作に結実しています。
こうして構築することができた、アシタツならではの作風を、今後もさらに追及し磨き上げていきたいと思います。
その研鑽の為、オーケストラの演奏を数多く聴き、オーケストレーションの勉強や研究にも今後励んでいきたいと思います。
こうして、自分ならではの作風で描き出した縄文ニューエイジ音楽ではありますが、一方で深く思いをめぐらしていたことがあります。
それは、姫神・星吉昭さんや宗次郎さんが、縄文をテーマに描いた際に、作品に込めた“ココロ”をしっかりと継承したいという思いです。
その“ココロ”とは、縄文という自然と共生する文化を生み出し、風の中で生きていた人たちの姿をしっかりと心に思い描き、縄文のイノリを曲に込めるということです。
このことが、尊敬する音楽家であるお二人が描いたテーマを、約20年の時を経て自らが手掛ける上で、最も大切にしないといけないことだという思いがありました。
ヒーリング・ホイッスルの音楽家として、日本のニューエイジ音楽の灯を、次代へと受け継いでいく使命と決意であります。
まだまだ自分自身は、無名の弱冠者の一音楽家にしか過ぎませんが、しっかりと受け継いで生きていきたい、頑張って曲を作って生きていきたいと考えています。
『縄文ノ水月(ウミ)~三方五湖幻想~』は、アシタツのこれまでの集大成であると同時に、新たな旅立ち・原点となる作品です。
古代史をテーマに、引き続き“弥生”や“邪馬台国”、世界遺産登録で注目を浴びる“古墳群”などもテーマに、曲を手掛けてみたいと構想を考えています。
尊敬する偉大な方々に、少しでも近づいていけるよう、今後も精進努力していこうと思います!